第4の迷路 ~貢献したいゾーン~ 2回目

20151110105813

~月先生のカウンセリングルーム~

月:
この病院での毎月の浅子さんと音也とのコラボコンサート、好評ですね。
僕の患者さんたちの評判もすごくいいです。ありがとうございます。

浅子:
お礼を言うのはこちらの方です。
私達の踊りと音楽がこんなに喜んでもらえるなんて思ってもいませんでした。
みなさんの反応と感想から、いつも元気と勇気をいただいています。
他の施設や学校などからもお声がかかりだして、嬉しい限りです。

月:
音也というベストパートナーもいることだし、
この毎週のカウンセリングもそろそろ卒業ですね。

浅子:
そんなことないですよ。
音也とはしょっちゅう意見がぶつかって、ケンカも多いので、
まだまだ月先生に聴いてもらいたいことがたくさんあるのです。

月:
ほう、コンサートを見ている限りでは、
息がぴったりで、羨ましいくらいですけどね。
例えばどんなことでぶつかるのですか?

浅子:
まず、結婚に対する考え方が違うのです。
私は早く結婚して子供を産み育てたいんですが、
彼は、子供は欲しいけど、結婚はしたくない、というんですよ。
結婚は愛情に法律が加わるので、愛情だけで十分だというのです。
なぜ、国に認められる必要があるのかと。

月:
自由人の音也らしいな。
彼は義務教育すら拒否して、小学校もまともに行かなかった奴ですからね。
彫刻家と画家のご両親の理解があったから、それでOKだったのですが。

小さい時から両親にがんじがらめにされて育った僕は、彼のことが羨ましかったですね。
僕が家出をしたのも、彼の存在が大きいんですよ。
僕も彼みたいに自由に生きてみたかったんです。

それで死にそうな目に会いましたけどね。
でも、その死にそうになった時に力になってくれたのも、彼なんです。

浅子:
はい、それは彼から聞いています。
月先生が暴走族の抗争に巻き込まれて、
港の倉庫で血まみれになって倒れているのを見つけて、
すぐに病院に運んだのですよね。

なぜその場所に居合わせたかは、今考えても不思議だったと、
何か目に見えないもの見導かれたとしか考えられないと言っていました。

月:
僕の守護神のツクヨミノミコトが彼にメッセージを送ったんだと確信しています。
彼は信じませんがね。

彼がなぜか急に夜釣りに行きたくなり、港で糸を垂らしていたら、
夜の暗い海に月が映っていて、綺麗だなあとそれを眺めていたそうです。
すると突然月が僕の顔に変わって「助けて!」と叫ぶ声が聞こえたというんです。
僕は気を失っていたので、声なんか出せるはずはないのですが。

浅子:
それで驚いてその声の聞こえた方向に走って行ったら、月先生が倒れていたんですね。
あと少し遅かったら命がなかったかもしれなかったと。

月:
はい、彼は命の恩人ですね。何もお返しできてないのが心苦しいです。

浅子:
そんなことないです!
この病院の定期コンサートをはじめ、いろんな施設に彼を紹介してくださって、
演奏活動を支えてくださっているじゃないですか。
彼がウクレレでなんとか生活できているのも、
月先生のおかげだと言っていました。
私も感謝しています。

(続きは明日へ)

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